長男が誕生してから,育児や食育について猛烈に勉強している.人間として,育児ほど大切な使命はないとも思っている.もちろん,我が家でも育児の中心は母親であり,1日24時間,1週7日,1年365日,休む間もなく子供の面倒を見てくれている彼女には頭が下がる.私は朝晩に顔を合わせるだけで,せいぜい日曜日に遊んでやるぐらいでしかない.それでも,育児や食育について勉強することによって,間接的に育児のサポートはできる.少なくとも,無関心ではないことを示せるし,母親がやりたいことを理解できるし,甚だしく間違った育児方針を押し付けて,すべてを母子に責任転嫁するような愚行を犯さずに済む.
私がどれぐらい頑張って勉強しているかについては,『食育・育児・教育の情報源』を見てもらうのが良いだろう.食育に関しては,スナック菓子,ジュース,乳製品などは与えないという方針を堅持している.加えて,野菜類は季節のものを中心とした有機野菜を選び,農薬に汚染された海外産のものは避けるなどしている.これぐらい徹底していても,飽食のこの時代,体に悪い食べ物は知らず知らずのうちに食卓に上る.
長男もそろそろ幼稚園のことを考える年齢になってきたが,食育に関する方針がどうなっているのかは気になるところだ.子供が喜ぶからと,ジャンクフードばかり与えているような所では困る.そんな折,外食・菓子産業が小中学校での食育授業に乗り出しているとのニュースを見掛けた.
「ジャンクフードやファーストフードを食べましょう」と宣伝をしたい企業側の意図と,総合学習を自分で指導できずに手抜きをしたい学校教師の意図とが,絶妙にマッチした格好だ.外食・菓子産業が学校で食育授業を手伝うことは悪くないだろう.問題は,宣伝目的の一方的なセールストークを教育と称して子供に押し付ける態度だ.情報は情報提供者に都合がよいように操作されていることを認識し,企業を利用しながらも,子供に異なる考え方もあることを伝えるなどの役割を教師が担う必要がある.それができないようなら,そんな出前授業は断るか,教師を辞めるかだ.「ジャンクフードやファーストフードを食べましょう」なんて授業は,子供に害を与えるだけだ.
【ニュース】(朝日新聞,2005年08月06日)
外食や菓子メーカーが、子どもを対象にした食の教育(食育)の出前授業に相次いで乗り出している。授業を通じて「健康に悪いジャンクフード」というイメージを変えるのが狙いだ。総合学習のテーマ選びに悩む学校側が飛びついているが、専門家からは「内容が偏らないよう、教師がきちんと授業を取り仕切る必要がある」との指摘も出ている。