毎夜のクラシックコンサート@プラハ
2005年07月09日(土)

スメタナホールのある市民会館
スメタナホールのある市民会館

宿泊したホテル(Mercure Center Prague)からほど近い市民会館.有名なスメタナホールがある.

市民会館でのチケット売り
市民会館でのチケット売り

綺麗な衣装に身を包んだチケット売り.この日は,ビバルディ・オーケストラによるコンサートの当日券を販売していた.

日本に比べて随分と北に位置し,かつサマータイムを採用しているため,プラハの夏の夜はとても長い.プラハに到着したのは,日曜日の夕方4時過ぎだった.宿泊したホテルはスメタナホールのある市民会館に近く,チェックインを済ませて荷物を置くと,すぐに散策に出掛けた.火薬塔に登り,天文時計のある旧市街広場を抜けてカレル橋へ.川の向こうにプラハ城が見える.

途中,ツーリストインフォメーションに立ち寄ったところ,TODAY/HEUTEと書かれた掲示板に数多くのコンサートのパンフレット(プログラム)が張り出されていた.ガイドブックを読んで,街のあちこちでコンサートが開かれているとは知っていたが,想像を遙かに超えていた.折角プラハに来たのだから,やはりクラシック音楽のコンサートは見ておきたい.そこで,当日,日曜日夜のコンサートのチケットを購入することにした.

有名なスメタナホールでのコンサートをはじめ,博物館や教会など,本当に街の至る所でコンサートが開かれている.教会のコンサートであれば400Kc(約2000円)ぐらいでチケットを購入できる.スメタナホールでも,1000Kc(約5000円)も出せば良い席を確保できる.

生まれてこの方,まともにコンサートに行った経験がない私は,とりあえず雰囲気を味わってみようと思い,クレメンティヌム内の「鏡の礼拝堂」で行われるコンサートを聴きに行くことにした.

コンサートが始まる8時までにはまだ時間があるため,クレメンティヌムの近くのチェコ料理レストラン(U Rudolfina)で食事をする.7時頃から,ピルスナーの元祖であるピルスナー・ウルクェルを飲みながらチェコ料理(ポークカツレツ)を食べて,店を出たのが7時半頃だった.

Mirror Chapel(鏡の礼拝堂), Klementinum(クレメンティヌム)
Organ concert

鏡の礼拝堂内部とパイプオルガン
鏡の礼拝堂内部とパイプオルガン

荘厳な雰囲気に包まれている鏡の礼拝堂.正面中央にパイプオルガンが置かれている.

パイプオルガンのスイッチ
パイプオルガンのスイッチ

パイプオルガンの左右にあるスイッチを動かすことで,様々な音色を奏でることができる.

お腹がいっぱいになったところで,鏡の礼拝堂へと向かう.入口付近には,コンサートに来たと思われる人達がベンチに座っている.中庭をブラブラと歩いていると,しばらくして開場となった.鏡の礼拝堂の内部はそれほど広くはなく,荘厳なパイプオルガンが置かれた部屋に,椅子が綺麗に並べられていた.最前列中央付近の席に座り,コンサートが始まるのを待つ.

最初に登場したおじいさんがパイプオルガンの奏者だった.会場内が静まりかえると,パイプオルガンの荘厳な音だけが響く.パイプオルガン独特の音色だ.演奏中に,おじいさんがパイプオルガンの脇の方を見て,何かガタゴトと動かす仕草をした.はじめは何をしているのか分からなかったのだが,しばらくして,その仕草の後に,パイプオルガンの音色が変化することに気付いた.コンサート終了後に確認したところ,パイプオルガンの左右にスイッチのようなものがあり,それを動かすと,音質が変わるのだと知った.

パイプオルガンのみによる演奏が終わると,ギターとソプラノが加わり,様々な曲目が演奏された.

コンサートは1時間ほどで終わり,9時過ぎに外に出たときには,まだ十分に明るかった.

作曲家 演目
Ch. J. Stanley Voluntary in D
F. Schubert Ave Maria Op.52, No.6
J. de Lublin Dances
C. Monteverdi Due Madrigali
J. Rodrigo Aranjuet, ma pensee
J. S. Bach Choral Overture
P. Eben Pisne k loutne
V. Matousek Via Prophetie
V. M. von Veber Due Canzonetti
G. Toshi Ave Maria
W. A. Mozart Laudate Dominum

Suk Hall(スクホール), Rudolfinum(ルドルフィヌム)
Mozart Orchestra Prague

ルドルフィヌム(芸術家の家)
ルドルフィヌム(芸術家の家)

川沿いに位置するルドルフィヌム(芸術家の家)は,有名なドボルザーク・ホールをはじめ,いくつかのホールやギャラリーを有しており,プラハ交響楽団の本拠地でもある.

U Rudolfina(ウ・ルドルフィナ)
U Rudolfina(ウ・ルドルフィナ)

クレメンティヌムやルドルフィヌム(芸術家の家)の近くにあるチェコ料理のレストラン.ボリュームたっぷりで美味しいチェコ料理が安く食べられる.メニューはチェコ語のみだが,店員さんは英語ができるので問題ない.

鏡の礼拝堂でパイプオルガンのコンサートを聴いた後,オーケストラによるクラシックのコンサートを是非とも聴いてみたいと思った.そこで再びチケットオフィスへ向かい,数あるコンサートの中から,良さそうなものを物色した.

選んだのは,水曜日にルドルフィヌム(芸術家の家)内のスクホールで催される,モーツアルト・オーケストラのコンサートだ.ビバルディ,ドボルザーク,モーツアルトと,いかにもプラハに来たことを実感できるプログラムになっている.夕方7時の開演に間に合うようにと,セッション終了後に学会の会場から地下鉄でルドルフィヌムに向かい,到着したのは6時半頃だった.太陽はまだ頭上にあり,日差しが厳しい.開場まで日陰で佇んでいると,同じ会議に参加している日本人も次々にやってきた.

スクホールに入ると,目の前のステージには椅子と譜面代が十数個置かれていた.規模は小さいが,初めてのオーケストラの生演奏に期待が高まる.しばらくして,拍手に迎えられてオーケストラが現れ,次いで指揮者が登場した.

とにかく,オーケストラの迫力に感激した.オーケストラに加えて,美しい女性ソリストのバイオリンとハンサムな男性ソリストのチェロも素晴らしかった.このようなコンサートを,好きなときに,550Kc(約2800円)で聴けるというのは,非常に恵まれた環境だと思う.とても羨ましい.

日曜日のパイプオルガンのコンサートも良かったが,オーケストラによるクラシックの生演奏を聴いた今,その虜になっていた.会場を後にするときには,プラハを去るまでに,もう一度,オーケストラのコンサートを聴こうと心に決めていた.

スクホールでのコンサートも1時間ほどで終わり,6名で夕食に向かった.行き先は,日曜日にポークカツレツを食べたチェコ料理のレストラン.今回は6名で訪れたので,様々なチェコ料理を取り分けて味わうことができた.しっかりとした濃いめの味付けだが,日本人の口にも合い,チェコ料理はとても美味しい.どうしても肉料理が中心になるので,何日も続けて食べると重たく感じるが,海外旅行先ではトップクラスの味だと思う.この日は,黒ビールとピルスナーを飲んだ.

作曲家 演目
A. Vivaldi Sinfornia in C major
The Four Seasons - Summer
A. Dvorak Famous Waltzes in A, in D
W. A. Mozart Divertimento in F major, KV 138
指揮者 (Dirigent)
Jiri Portych
ソリスト
Lucie Hulova (Violin)
Martin Sedlak (Cello)

Smetana Hall(スメタナホール), Municipal House(市民会館)
Vivaldi Orchestra Praga

スメタナホール入口
スメタナホール入口

市民会館の2階にあるスメタナホールの入口.ビバルディ・オーケストラによるコンサートを聴きに来た人達が続々と集まってくる.

スメタナホール内部
スメタナホール内部

大きく豪華なスメタナホールの内部.

プラハ滞在を締めくくるのに相応しいコンサートとして最後に選んだのは,スメタナホールでのビバルディ・オーケストラによるコンサートだ.チケットは,A席,B席,C席の3種類あったが,これが最初で最後の機会だろうと思い,A席のチケットを1000Kc(約5000円)で購入した.

学会最終日の金曜日,買い物(ボヘミアングラス)と食事を済ませた後で,夕方8時前にスメタナホールのある市民会館へと向かった.市民会館の中に入ったところで,係員にチケット(ツーリストインフォで発券してもらった紙)を見せると,コンサートチケットと交換するように言われたので,ブースに行き,その旨を伝えた.すると,係員が本物のチケットとスメタナホールの座席表を取り出し,10列目6番で良いかと尋ねてきた.ツーリストインフォでチケットを購入した際には,オープンシートだと言われていたので,非常に驚いたが,10列目6番なら悪くはないので,"Sure."と答えて,チケットを手にした.

スメタナホールは壮麗で大きい.水曜日にコンサートを聴きに行ったスクホールとは比較にならない.天井はとても高く,2階席もある.流石は,プラハを代表するホールだ.チケット代金の一部は,このホールの見学料金だと考えて良いだろう.

ステージの照明がともると,ビバルディ・オーケストラが登場した.このオーケストラには指揮者がおらず,コンサートマスターの合図で演奏が始まった.この演奏も非常に良かった.ビバルディの四季は,春,夏,秋,冬すべてが演奏され,春の小鳥のさえずりなど,よくもあれだけ指を速く正確に動かせるものだとバイオリンの演奏テクニックに感心させられた.一応,ほんの僅かな期間ではあったけれども,バイオリンを習ったことのある者として,本当に感心した.CDを聞くのと生演奏では音が違うのも当然だろうが,演奏者の動きを見るという行為が実に興味深い.

10時少し前,スメタナホールのある市民会館を後にして,ホテルへ戻った.

作曲家 演目
G. F. Handel Concerto grosso A Minor Op.6, No.4
J. S. Bach Ricercar a 6 from Musikalische Opfer
A. Vivaldi The Four Seasons (Le Quattro stagioni) -
Spring, Summer, Autumn, Winter
ソリスト
Vaclav Navrat (art. leader) (baroque violin)
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