学生の投資について
2005年04月10日(日)

某N大学の学部生が中心となり,投資サークルを設立したという話を聞いた.そこで頑張っているのは経営系の学部に所属する学生なのだが,学内で講演会を開催するそうだ.学内の教員の協力も取り付け,ゼミや講義の中で講演会の案内をすることも認めてもらったらしい.流石,経営系の学部だ.

さて,ここまでの話だけだと全くの他人事でしかないのだが,その講演会の案内資料に掲載するコメントを私も執筆することになった.経緯はさておき,投資に興味を持つ物好きな大学教員の代表ということらしい.折角コメントを書いたのだから,ここに転載しておこう.

【以下,寄稿したコメント】

投資とは「利益を得る目的で事業に資金を投下すること」だと広辞苑には書いてある.狭義の投資というのはお金を事業に注ぎ込むことだが,将来の利益のために今何かを投下するのが投資だと考えてみよう.そうすると,自分の行動を違った角度から見られるようになる.例えば,時間というのは非常に貴重な財産だ.お金は増やせるが,時間は減るしかない.その貴重な時間を使って,我々は,勉強したり,遊んだり,食べたり,寝たりしている.勉強した時間は将来のために使われたと考えられる.また,遊んだ時間はその瞬間の快楽のために消費したと考えられる.もちろん,遊びも経験として将来への糧となるものもある.

投資というのは,自分の人生設計があって初めて検討するに値するものだと思う.今,学生であるなら,どういう職について,どのような人生を歩むつもりなのか,今一度自問自答して欲しい.そして,次の問いに真剣に答えてみて欲しい.

「何に投資すべきか?」

あなたがどのようなキャリアプランを思い描いているかは知る由もないが,ビジネスでも研究でもスポーツでも,その分野で一目置かれるような人物になるためには,相応の実力を付けなければならない.そのためには,自分への投資が必要ではないだろうか.

「若いときにこそ,自分自身に投資しろ.」

偉そうだが,これが私からの助言だ.いわゆる「投資」を考えるのは,その後でいい.

さて,いわゆる「投資」の話もしておこう.まず,投資はギャンブルだとか怖いとか感じている人はいないだろうか.そう感じているなら,その根拠が何かを考えて欲しい.無知から来る不安に怯えているだけではないだろうか.もしそうなら,そんな幻想は今すぐ捨て去るべきだ.投資を始めると,経済や政治等のニュースに敏感になる人が多い.また,企業の決算書や財務分析に興味を持つようにもなる.これらは投資の副産物だが,忘れかけていた好奇心を取り戻し,自発的な学習に取り組むようになるという観点から,素晴らしいことだと思う.就職活動が喫緊の課題となってから慌てて日経を読むような学生の態度とは全くレベルが異なる.このようなメリットを踏まえて,私は学生に投資を推奨している.とりあえず,アルバイトで稼いだ1万円を握りしめて,証券会社の店頭に行って,窓口のお姉さんに相手をしてもらいながら,どれでも良いから投資信託1万円分を買って来いと.それからで良いので,目論見書をしっかり読んで,日々の基準価額の推移を見てみろと.高々1万円だとしても,この投資をするという行為から得られる経験は物凄いものがある.これは,実際にやらないと決してわからない.

これから投資を始めようとする人達には,是非,優れた先達から学んで欲しい.投資に関する書籍は数多く出版されているし,インターネット上にも情報が溢れている.ただし,華やかな誘惑に惑わされないこと.投資をする覚悟ができたら,中途半端な態度はいけない.信念を持って取り組める投資スタイルを身に付けるために,真剣に勉強しよう.

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