宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」がDVDで発売されて反響を呼んでいる.昨年11月の発売以来,関連作品のコミックなども良く売れているようだ.
宮崎駿監督作品に魅了されるようになったのは,「風の谷のナウシカ」と「カリオストロの城」を見てからだろうか.最近の作品である「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」では興行的にも大成功を収め,日本だけでなく世界的にその魅力が認められている.しかし,「風の谷のナウシカ」が私にとっては一番のお気に入りだ.
ところで,多くの人が知る「風の谷のナウシカ」は原作全7巻のうちの最初の2巻にも満たない.物語はそこから素晴らしい広がりを見せる.秘密が解き明かされていく.アニメだけを見て,環境問題を取り上げただけだとか,勧善懲悪の話だとか,そのように単純に捉えているのなら,原作を読んでみると良いだろう.ナウシカの本当の世界がそこにある.
ちなみに,ナウシカの名はホメロスの叙事詩「オデュッセイア」に登場するパイエケス人の国の王女の名に由来する.「オデュッセイア」とは「オデュッセウス物語」という意味で,トロイア戦争に参加したイタケー島の王であり,知将であるオデュッセウスが十年の年月を費やし,数々の冒険を経て,ようやく故郷に辿り着くまでを描いた物語である.その中で,パイエケス人の国に流れ着いたオデュッセウスに,王女ナウシカが救いの手を差し伸べる.