乳幼児教育
2003年11月23日(日)

あまりにも当然のことだが,誰でも100mを9秒台で走れるわけではない.必死に努力しても無理なことはある.スポーツに限らず,勉強もそうだ.大して努力しなくても,簡単にテストで抜群の成績を取れる人もいれば,必死に勉強してもそこそこの成績しか取れない人もいる.一体,この差はどこから来るのだろうか.

遺伝.確かに説得力のある理由だ.足が速いのも,音痴なのも,絵が上手なのも,字が汚いのも,記憶力が良いのも,何でも遺伝の所為.そう片付けてしまえば,何も考えなくて済む.諦めもつくというものだ.しかし,本当にそうだろうか?

音痴は遺伝か.子供が音痴になるのは,調子外れの子守歌を毎日毎日聴かされたからであって,生まれながらにして音痴なのではない.遺伝ではなく,環境が音痴を育てるのだ.いつも正しい音程の曲を聞かされていたなら,きっと音痴はならないだろう.

運動神経は遺伝か.子供の運動神経が良くなるのは,運動好きの親と一緒に運動をよくするからであって,生まれながらにして運動神経が良いのではない.遺伝ではなく,環境が運動神経を良くするのだ.運動嫌いの親に体を動かすことなく育てられたなら,きっと運動神経は悪くなるだろう.

日本語は遺伝か.子供が日本語を話すのは,日本語を話す親に育てられたからであって,生まれながらにして日本語の才能があるのではない.遺伝ではなく,環境が日本語を使わせるのだ.いつも綺麗な外国語を聞かされていたなら,きっと外国語を話すようになるだろう.

このように,音痴にしても,運動神経にしても,日本語にしても,結果だけから何も考えずに判断すれば,子供の特性は遺伝で決まると結論づけたくなる場合も多いだろう.しかし,遺伝のように見えても,本当の原因は環境にあることが多い.もちろん,すべてが環境で決まるわけではない.遺伝の影響は非常に大きい.しかし,親が環境の整備に本気で努めるなら,素晴らしい能力を持つ子供に育てることもできるはずだ.そもそも,アホな親から賢い子が生まれないなら,人類は大昔に破滅しているだろう.

ここから,乳幼児教育についての重要な結論が導かれる.つまり,できるだけ早い時期から,子供には多種多様な良いものを与えるべきである.運動,音楽,絵画,各国語,生活習慣,挨拶,その他何でも良い.与えすぎになることはない.無能な大人の基準で,小さな子供の可能性を否定する必要なんてない.子供はいくらでも吸収する.良いものも,そして悪いものも.子供に何を与えるか,その質と量を決めるのは親だ.

「うちの子は...」と嘆く親は,その責任は自分にあることを知るべきだ.遺伝にしろ,環境にしろ,いずれにせよ,悪いのは親だ.それ以外にない.

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