ヨーロッパ内を移動する際に,鉄道は大変便利だ.複数の都市を訪れる場合,ユーレイルパスや各国のレイルパスを利用すれば,移動の都度切符を購入する必要もなく,ほとんどの特急列車に追加料金なしで乗車できるため,快適に移動することができる.しかも,個別に切符を購入するよりも割安だ.今回のヨーロッパ訪問では,複数の都市を訪れる必要があったため,ユーレイルパスを利用した.
帰国後,出張旅費を精算するために,大学の事務にユーレイルパスの領収書等を提出したところ,「ユーレイルパス代金は支払えない」との連絡が来た.ユーレイルパス購入前に,わざわざ専攻事務経由で経理に問い合わせて,パス料金が支払われることを確認したにもかかわらずだ.こんな騙し討ちを見過ごすわけにはいかないので,納得できないと反論すると,「パス料金は支払い可能であると回答した担当者が不明なため,どうすることもできない」ということだった.
ここから教訓が導かれる.事務に質問や相談をするときは,必ず会話内容を録音しておけ,ということだ.もちろん,文書で回答してもらって,直筆署名に加えて印鑑を押してもらえば万全だろう.これぐらいのことをしないと,自分の身は守れないということだ.国会で「覚えていません」という答弁を良く耳にするが,こんな身近なところで自分が被害に遭うとは想像すらしていなかった.まだまだ甘ちゃんだったと反省するばかりだ.
事務側の言い分としては,レイルパスではどこからどこまで利用したかが不明瞭なため,料金を支払うことができないそうだ.実際,ユーレイルパスの場合,利用者が自分でパスに使用月日を記入するだけで,使用区間は一切記載されない.しかし,出張で訪れる都市は事前に申請してあるわけで,普通に乗車券と特急券を購入した場合に出張全体でかかる費用を計算することはできる.その金額と比較してレイルパスの方が安いのであれば,レイルパスを使わないなんて馬鹿げているのではないか.我々は貴重な研究費を使って出張しているわけで,無駄はなくしたいというのが基本姿勢だ.ところが,事務側では,所詮は人の金だから節約なんてどうでもよく,使途が明瞭であることの方が遙かに大事というわけだ.そんなことでいいのか.