2002年12月07日(土)
毒蛇を食べる

いま,台湾から日本へ向かう飛行機の中にいる.台北で開催された学会に参加した帰りだ.昼間は会議場で缶詰になるため,わずかな時間で台北市内を見て回ったが,貴重な体験をすることができた.

今回最も期待していたのが,故宮博物院だ.北京にも故宮博物館があるが,主要な財宝はみんな蒋介石が台湾に持って来たため,台湾の故宮博物院の方が展示物が充実しているそうだ.実際,とてもすべてを見て回ることはできないほどの展示物があった.途中で緑色から白色に変化する翡翠(?)の特徴を活かした「白菜」の置物については,他にもっと良いネタがなかったのかと思ったが,凄く有名なものらしい.その他にも,紀元前2千年頃の精巧な青銅器などを見ると,中国の歴史を感じることができる.ただ,建物については,広大な紫禁城を有する北京に分がある.

夜になると,地元の人と観光客とで夜市が大いに賑わう.市内に数カ所の夜市があるそうだが,連日異なる夜市に出掛けて,それぞれの違いを楽しんだ.正体不明の食べ物,鞄,服,靴,装飾品,そして偽物の時計など,ぶらぶらと歩いているだけで楽しめる.そんな夜市の中でも,最も衝撃を受けたのが,龍山寺の近くの夜市だ.そう,ここが蛇で知られる夜市だ.

MRTの龍山寺駅を出るとすぐ近くに,夜市の商店街(?)がある.その通り沿いには,様々な商店が軒を連ね,通りの中央では数多くの屋台が食べ物を売っていた.なぜか,イカ(するめ)が多かった.しばらく歩いて通りを曲がると,いきなり蛇料理のレストランが現れる.さらに,毒蛇研究所とかいう看板を掲げた店が何軒もある.その店頭では,威勢の良いおじさんが,毒蛇をさばく様子を実演している.生きている蛇の頭を紐で縛り,はさみで蛇を切り裂き,その血を絞り出して麦酒に混ぜ,さらに肝を取り出す.かなり衝撃的だ.

何事も試さなければならない.というわけで,蛇料理を出してくれるレストランで,蛇のスープと炒めものを注文した.蛇スープには,大きめのグラスに入った蛇の血と,小さなグラスに入った3種類の飲み物が付いてきた.1つは高麗人参入りの飲み物,1つは蛇の毒,最後の1つは蛇の肝かペニスかそんなの.もう,どうでもいいや,好きにしてくれって感じ.さらに,透明で黄色い粒が2つ,小皿に載せられていた.蛇の「あぶら」と説明されたが,未だに何なのか分からない.それでも,とにかく,すべてを味わった.決して美味しいものではなく,特に「あぶら」は酷かった.ちなみに,台湾人は蛇料理が好きというわけではなく,一般の人々は蛇なんか決して食べない.台湾の先生に本当に蛇を食べたと報告すると,とても驚いた様子だった.決して食べる気はないそうだ.

もちろん,珍味ばかり食べていたわけではない.会議最終日の夜には高級レストランで中華料理を満喫した.驚いたのは,麦酒やお茶を飲むとすぐに注いでくれたことと,取り皿だけでなく,おしぼりを何回も取り替えてくれたことだ.美味しくて大満足だった.

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