2002年10月14日(月)
投資用マンション買いませんか?

研究室にいると,「投資用マンションを買いませんか?」という内容の電話がよくかかってくる.会社名とかはいちいち覚えていないが,話の内容はどこも一緒だ.要するに,「駅前の一等地に質の良いワンルームマンションを建設しました.ローンを組んで購入してもらえれば,月々の家賃収入でローンを返済できるため,実質的に何の出費もなく,数十年後には”ただ”でマンションを取得できます.」ということだ.

内容的には別に詐欺でも何でもないので,共感できる人は投資すればいいし,できない人は断れば良いだけだ.しかし,勤務時間中に電話をかけてくるというのは,いかがなものか.内容はともかく,人が仕事をしているときに職場に私利私欲だけで邪魔な電話をしてくる図々しさが気に入らないので,大抵は即座に切る.投資用マンション以外では,一時期,商品先物の電話が多かった.

そんな私も,稀に,投資用マンションの話を聞くときがある.購入する気は微塵もないのだが,内容を知っておいても損はないだろうという判断からだ.一通り話を聞いたら,いくつか質問をする.なかでも,「家賃保証とか,管理は万全とか言うが,あなたの会社が潰れたらどうなるのか?」というのが肝心な質問だ.これには営業マンも一瞬言葉に詰まるようだが,その程度のことを考えていない投資家はいないだろうし,売り手も模範解答は用意済みだろう.しかし,これは本当に重要な問題で,管理が悪いマンションはスラム化しかねないし,もしそうなったらお終いだ.資産価値なんてあったものではない.あと,家賃収入の確実性にも懐疑的にならなければならない.どう考えても,最近はマンション供給過多のように見える.つまり,地価が反騰でもしないかぎり,価格競争に巻き込まれて,目論見通りには家賃を取れないように思える.そうなると,家賃収入でローンが返済できなくなくなるばかりか,当然資産価値も低下するわけで,ダブルパンチとなる.そこで問題となるのが,マンションはすぐには売れないということだ.流動性が低すぎるため,買い叩かれるのを覚悟の上でなければ売れない.土地バブルのときとは何もかもが反対になるわけだ.このように,いろいろと不安要因があるわけだが,実質的な利回りはそんなに高いわけではない.そもそも,収入の大半はローン金利として銀行に抜かれてしまう.個人的に銀行(郵便貯金も)は嫌いなので,彼らに貢献するためにマンションなんて買うつもりはない.それでも,どうしても不動産に投資したいなら,不動産投信を選ぶだろう.

もっと長期的な視点に立てば,日本の少子化をどう捉えるかという問題もある.

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