源泉徴収という制度で飼い慣らされた日本のサラリーマンは,すっかり現状を受け入れてしまっている.節税意識が低いことは財務省にとっては好都合であろうが,あちこちでサラリーマンの税金そのものへの関心の低さが指摘されている.そこで,サラリーマンにも確定申告させることで,不甲斐ない大企業が支払っていない税金を,自分のささやかな給料からガッポリ没収されている事実を認識させて,その使途も含めて,税金への意識を高めようという議論がある.そんな折り,下記のニュースを見かけた.
税の軽減や還付を求める機会を増やすとあるが,ボケーッとしていると,給与所得控除の圧縮で増税になることは間違いない.自分で何かをするという態度が身に付いていない,常に楽な道を選ぶ,他人任せな人達は,大損することになるだろう.まあ,それはそれで構わない.だが,確定申告しても増税にしかならないような制度変更は許し難い.ここで,一つ例を挙げておきたい.あるサラリーマンが上司に無理矢理飲みに連れて行かれて,しかも割り勘だった場合,その飲食代ぐらいは経費として扱われるのか.既に確定申告をしている人達なみに,サラリーマンにも必要経費を認めろと言いたい.一方で,どれほどサラリーマンだけが搾取の対象となっているか,サラリーマン自身が勉強すべきだ.無知は悲惨な結果を招く.
前回の独り言で,起業家を育てる方法について述べたが,税金の勉強をさせるのも良いだろう.
【ニュース】
政府の経済財政諮問会議は税制改革でサラリーマンの自主的な申告納税を促す制度を導入する方針だ.申告時に必要経費と認める対象を現在の5項目から大幅に広げ,税の軽減や還付を求める機会を増やす.会社が税額を精算する年末調整との選択制にする.源泉徴収に慣れた人の納税意識を高める狙いだが,給与の約3割を経費とみなす給与所得控除は圧縮する.税負担増につながる懸念もある.