2002年02月11日(月)
ボトルネックという考え方

毎年この時期になると,卒業や修了の懸かった学生が最後の追い込みで忙しくなるため,私も非常に大変である.なかなか自由な時間も取れず,大好きなスキーにすら行くことが困難になる.そんな日々を過ごしていると,欲求不満になるので,せめて読書ぐらいはしたくなる.日曜日に,そんな想いで図書館に出掛けて,いくつか本を借りてきた.

日曜日の午後,「ザ・ゴール」という本を読んだ.私は読むのが非常に遅いため,読み終わるのに本当に午後全部を使ってしまったが,なかなか面白かった.この本は企業における生産管理の正しい方法を説くために書かれた小説である.生産管理というと難しく聞こえるかもしれないが,何らかの目標に向かって行動することを「生産」と呼び,その行動を管理するための手法が生産管理だと知れば,我々の日常生活にも使える方法であることがわかる.

著者は自らが開発した手法を「制約条件の理論(Theory of Constraints; TOC)」と呼んでいるが,別に理論と呼ぶほどのものではない.ただし,実際に企業の業績を向上させた手法であることは間違いない.すなわち,多くの企業では,TOCが物凄い効果を上げられるほど悲惨な運転管理しか行われていなかったということだ.TOCの考え方自体は非常にシンプルで,まさに常識とでも呼ぶべきもののように見える.もし多くの人達がTOCの考え方を常識的でないと思うなら,私はいつどこでそういう考え方を身に付けたのだろうか.

TOCの考え方を簡単に解説しておこう.何よりも重要なのは,正しい目的を掲げることだ.目的が間違っていては,何をしても無駄である.その上で,まず第一にすべきことは,ボトルネック(あるいは制約条件)を見付けることだ.ボトルネックというのは,一番弱い部分と思えばよいだろう.工場や集団など何でも良い.その中で一番弱い部分がボトルネックであり,それを見付けることが改善への第一歩だ.一番弱い部分を強くすることができれば,全体が強くなれる.これがTOCの考え方である.ね,常識でしょ.詳細は本を読んでもらえば良いが,この本で私が感心したのは比喩のうまさである.実に巧みにボトルネックについて,さらにはTOCの考え方について説明している.こんな教科書を書けたら儲かるのだろうな...

さて,この本を読んで何もしないのが凡人の凡人たる所以である.それではいけないので,自分の行動に当てはめてみよう.そして,自分の行動を評価してみよう.そうしたら,次の5種類に分類できるのではないだろうか.

1.TOCよりも素晴らしい理論に基づいて行動している
2.TOCの考え方に従って行動している
3.TOCの考え方は理解できるが,自分の行動には反映できない
4.TOCの考え方が理解できない
5.TOCの考え方を理解する気もない

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