2001年11月11日(日)
自己責任とは言うけれど

確定拠出年金(日本版401k)制度の導入もあり,『自己責任』という言葉を耳にする機会が多くなった.この言葉は主に投資の世界で使われるらしく,例えば,東京証券取引所は自己責任原則を以下のように説明している.

投資者が,証券取引の投資判断を誤り損失を被ったとしても,それは全て自らが負担するという原則のことをいいます.常にリスクの伴う証券取引においては,投資家はそのリスクを十分理解したうえで,投資について調査・検討し,自らの責任の下で投資を行わなければなりません.

まあ,当然のことである.これを当然と思っていないのは,損失補填してもらえる闇社会の住人(表向きはまともな職業だったりもする)なんかと,損失補填をする側の会社ぐらいだろう.いや,公的資金(郵貯,公的年金や保険)を動かして,莫大な赤字を築いている人達も同類か...

証券であっても,不動産であっても,商品であっても,ネズミ講であっても,投資の基本は売買である.だから,得する人がいれば,損する人もいる.一般的には,強欲な馬鹿者が損をするようだ.まず,人任せで楽して儲けようなんて企んでいる人は投資をやめなさい.そういう人は,銀行の定期預金か日本国債でも買って,満期まで持っていなさい.もちろん,日本国デフォルトという究極のリスクはあるが,そうなったら諦めて下さい.一方,自分で勉強する気がある人は,自分に合った金融商品に挑戦してみましょう.

さて,今年4月に経営破たんした大和都市管財が売りまくった抵当証券が問題になっている.この件について,大和都市管財とその経営陣が悪いのは間違いない.だから,購入者が怒るのも理解できる.しかし,仕組みをちゃんと勉強すれば,国が元本を保証していないことや,抵当証券会社が倒産したらお終いということはすぐに分かったはず.しかも,遠くはない過去に抵当証券会社が倒産した例が複数もある.全然勉強もしないで,意味不明の金融商品に自分の資産を賭けてしまう行動は理解に苦しむ.そういう意味で,損しても自業自得という面もあるだろう.政府やお役所が国民のことを第一に考えているわけはないのだから,自分の身は自分で守らなきゃ.それにしても,金融監督行政のお粗末さには閉口するばかりだ.お役人が「自己責任で...」なんて口走っていたが,自己責任を求めると同時に,まともな仕事をしてもらいたい.

わざわざ,こんな独り言を読んでくれている人へ.

  1. 世間が「日本沈没!」なんて騒ぎ出したら,一呼吸おいてから株や株式投信を買いましょう.
  2. 世間が「今こそ株式投資」なんて騒ぎ出したら,一呼吸おいてから株も株式投信も売りましょう.

決して,雑誌やテレビの多数派に同調してはいけません.そんなことをしたら,すぐに資金をなくします.くれぐれも焦らないこと.一呼吸おいてからで十分間に合います.世間が「日本沈没!」と騒げば,小心な人達が狼狽売りしてくれますから,安くなるまでのんびり待ちましょう.世間が「今こそ株式投資」と騒げば,流行に乗り遅れるタイプの人達が買い上げてくれますから,高くなるまでのんびり待ちましょう.あと,分からないときは現金化すること.これを忘れないように.勝てるときだけ勝負するのが鉄則です.実行するのは難しいですが,どうしても儲からない人は投資のセンスがないので,貯金で我慢して下さい.

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