2001年08月23日(木)
プラクティススクール(PS)に参加して

プラクティススクール(PS)の内容については,7月31日の独り言を参照して下さい.

20日の中間報告会を見届けた後,京都に戻ってきた.計10日間ほど三菱化学水島事業所に滞在させていただいたが,その間,MITのスタッフと学生,そして当研究室の学生がプロジェクトに取り組む様子を見て,いろいろなことを感じた.そのいくつかを,ここで述べることにする.

何よりもまず,今回の滞在で最も驚かされたのは,当研究室の学生が中間報告会で素晴らしいプレゼンテーションを行ったことだ.プロジェクトを開始してから僅か2週間で,あれだけの内容の発表を英語で堂々と行えたのだから,素晴らしいとしか言いようがない.MITのメンバーからも高い評価を受けて,大きな自信になったことだろう.もちろん,その発表のために,連日早朝から深夜まで必死に準備をしたのであるから,その努力が報われたと言える.「成功体験が人を育てる」と言われるが,今回の体験はまさに成功体験の1つとなり,彼らを一回り大きく成長させることだろう.

一方,MITの学生(修士および博士課程)に関しては,いろいろな面で驚かされた.第一に,化学工学の基礎知識をしっかりと身に付けている.テスト前だけ勉強したら十分だと多くの学生が思っているような大学との差を見せつけられた思いだ.また,基礎知識に限らず,プロセスシミュレータ,パソコン,文献調査など,困難なプロジェクトを遂行する上で不可欠な能力も身に付けている.残念ながら,平均的な京大生では到底太刀打ちできないと思われる.平均的な大学生なら,なおさらだろう.もちろん,全員が完璧なまでに優れているというわけではない.いろいろと至らない部分はあるわけだが,スタッフが適切なアドバイスを与え,励まし,指導を行っている.PSは実に優れた教育プログラムであると感じた.

今回の経験を活かすために,私の影響力が及ぶ研究室内活動において,以下のような試みを行うつもりだ.

  1. 修了あるいは卒業研究を進めるに際して,具体的なワークスケジュールを提出させる.
  2. 研究発表の練習を行う際に,全員に評価用紙を書かせ,意見を述べさせる.

いずれも,まずは研究が他人事ではないということを自覚させるのが狙いだ.その上で,研究を通して,プロジェクトを遂行する能力を身に付けてもらう.その能力の1つに,プレゼン能力があることは言うまでもない.

結局は,学生自身が目覚めるしかないわけであり,教官はせいぜいそのきっかけを与えるに過ぎない.今回プラクティススクールに参加した学生が研究室に戻ってくれば,彼らと共に,研究室の全メンバーを覚醒させる努力をしよう.

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