２００１年０７月２４日（火）
様々なレベルでの危機管理

（１）痛ましい事故

明石市で起きた将棋倒し事故が大きく取り上げられている．幼い子供と老人ばかり１０名もが亡くなったのだから，無理もない．しかも，伝えられる情報（正しいとは限らない）から判断する限り，市や警察が適切に対応していれば事故発生を防ぐことは十分に可能だったと思われるため，関係組織に非難の矛先が向くのも当然であろう．亡くなられた方々のご冥福をただ祈るばかりである．

日本政府の危機管理能力の欠如が指摘されて久しいが，個人レベルでの日本人の危機管理能力についてはどうだろうか．例えば，今回のような大規模な花火大会においては，花火終了時刻前後に駅付近が最も混雑することは誰でも予測できることであり，不測の事態が起こった場合にまず犠牲になるのは体力的な弱者であることも想像に難くない．そうであるなら，子供連れの大人に，最も混雑する時間帯に現場から遠ざかっておくという判断はできなかったのだろうか．この意見に対しては，冷酷過ぎるとの非難もあるだろう．しかし，日本政府の危機管理能力を非難できるぐらいに危機管理意識があるなら，そして不祥事が絶えない警察に憤りと不信を感じているなら，「自分と家族の身は自分が守る」という意識を持つべきなのではないだろうか．決して，市や警察に非がないと言っているわけではない．そんなものは元々あてにならないという前提で行動すべきではないだろうか，ということだ．いくら非難しても事故前には戻れないのだから，悔やむ前に行動したい．個人レベルで今回の教訓を生かすとしたら，こういう結論になるのではないだろうか．

（２）おかしな財務大臣

日経平均株価がバブル崩壊後最安値を更新したことを受けて，塩川財務大臣が証券・銀行業界に株価を上げろと命じた．さらに，日本のハイテク産業は強いのに，現在のように株価が下がるのはおかしいから，過小評価を是正しろとも命じた．現内閣がマイナス成長と倒産件数・失業者の増大を基本政策として掲げており，さらにデフレを脱する見通しが全く立たないから，株価は下がり続けている．このように解釈すれば，自分のことは棚に上げて，日銀や民間（銀行は民業とは認められない）に罪をなすりつける日本政府の態度は許し難い．テレビでの会見を見て，開いた口が塞がらなかった．

追記：最安値更新ということで，ＥＴＦを購入してみました．（７月１３日の独り言参照）