2001年05月02日(水)
総論賛成各論反対

小泉内閣総理大臣が誕生し,改革断行内閣として始動することになった.自民党総裁予備選挙での大勝,さらには世論調査での歴代一位となる内閣支持率には正直驚かされた.閉塞感と失望感,そして自己嫌悪感が蔓延する現在の日本において,多くの国民が変革の必要性を感じていることは間違いないだろう.そのような背景があるからこそ,構造改革を唱える小泉氏が勝つことができたと思われる.

しかし,構造改革の具体的な内容,さらには小泉内閣が日本の社会システムと経済に与える影響を認識している国民はいるのだろうか.新内閣を支持している人達は,一体何を支持しているのか.ただ漠然と何かが変わりそうだという程度の認識しかない人が多いだろう.そうであるにもかかわらず,あれだけ高い支持率が達成される状況は,極めてマスコミに洗脳・扇動されやすい日本国民の実体を表しているのだろう.そして,彼らの多くが支持するのは,自分は痛みを感じない改革だけであろう.崩壊した日本の政治・経済を立て直すには,相当な覚悟が必要となる.平和呆けし,自分のことにしか興味を示さない日本国民にそこまでの覚悟があるのか.自分を改革する意志はあるのか.現在の内閣支持率は総論賛成の世論を反映しているだけであり,具体的な政策が提示されるにつれ各論反対を唱える人の数は急増するだろう.周囲の人よりも自分が痛みを伴う改革に賛成できる人はどれほどいるだろうか.

小泉氏の主張の一つに首相公選制の導入がある.確かに,大した理由もなく操り人形として首相が決められてしまう現状は異常であり,国民として納得できるものではない.しかし,首相公選制を導入して日本は良くなるだろうか.テレビで垂れ流される低俗な白痴番組を好み,自己中心的な生活を志向する国民に,未来を見据えた正しい選択ができるのか.自惚れるのも大概にすべきであろう.

現在の政治がいくら酷くても,それが国民の水準を反映していることに目を背けてはいけない.日本は現状維持すら困難な状況にまで追いつめられているのだと思う.さて,連休明けには所信表明演説がある.大いに期待したい.

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