修士論文・卒業論文の提出も終わり,研究室一同で赤倉に行った.集合場所の京都駅もゲレンデも,数年前とは全く異なる風景だった.とにかく,スキー板を担いでいる人がほとんどいない.スノーボードの普及の速さには驚くばかりだが,ウィンター・スポーツを始めるのにスノーボードでなくスキーを選ぶ理由は確かに見当たらない.
第1に,初心者でも格好をつけられる.スノーボードを装着していれば,初心者も上級者もそれほど見た目に大差はない.勿論,滑りは全然違うが,ボーゲンほど無様な格好にならなくても済む.スキーをしたことがある人には分かると思うが,ボーゲンができなければ何もできない.さらに,ボーゲンの練習は疲れるし,格好悪いことこの上ない.パラレルに到達するためには,どれほど修行を積む必要があるか.手っ取り早く楽しむためにはスノーボードが良いのだろう.
第2に,荷物が少なくて済む.スキーのように長い板を担ぐ必要もなく,重いブーツを運ぶ必要もない.今回の旅行で,この違いを痛感した.スキーヤーに比べて,スノーボーダーの荷物は本当に小さくて軽い.
スノーボードが普及しはじめた当初,スノーボードが大嫌いだった.というのも,スキーとはリズムが合わないし,ゲレンデの真ん中で座り込むからだ.ゲレンデで座り込む行為はマナー違反に他ならないのだが,ボーダーはあまり気に掛けないようだ.今でも座り込みは気に入らないが,スキーとスノーボードの違いは理解できるようになった.その違いとは,平地でスケーティングという技が使えないために,いちいちボードを外して自力で歩かないといけないことだ.このため,リフト乗降時も含めて,外すときと付けるときにゲレンデで座り込む必要がある.
ボーダー嫌いの私ではあるが,今回の旅行でボーダーの存在を肯定する気になった.何故かと言えば,スキーヤーに比較して,ボーダーは急斜面を回避する傾向にあり,特にコブ斜面には寄り付かないからだ.その結果,少数のスキーヤーが存分に急斜面を滑ることができる.しかも,初心者は大概スノーボードを選ぶため,自分のレベルもわきまえずに急斜面に突入してくるスキーヤーも減る.スキー派としては,スノーボードの隆盛を喜ぶべきなのかもしれない.
暖冬との予想にも拘わらず,3月上旬だというのに雪質は非常に良く,積雪量も十分だった.しかし,地球温暖化が進むと,本州でスキーができなくなる時代が訪れるのだろうか.勘弁して欲しいが,そうなったらスキューバダイビングにでも転向しようかな.